こんにちは。
今日は1日雪の日。気になっていたテーマについて、ようやくBlogが書けました。
フルートを演奏するにあたって『歌声』との関連は大きいことを改めて実感しましたので、記しておきたいと思います。
もともとは、年末年始にフルート奏者の斎藤和志さん(東フィル首席奏者・東京芸大講師)がYoutubeで配信された内容です。
斎藤さんは4スタンス理論を演奏法に取り入れたり、その4スタンスに起因して作曲家ごとのスタイルや個性が生まれたのでは…という考察など、とてもユニークな視点をお持ちで注目しています。
これまで、様々な機会に世界レベルのフルート奏者にお目にかかることがありました。
初めてベルリンでパユ氏にお会いした時、氏のよく響く「バリトンボイス」に先ず驚きました。予想に反した低い声で、その話す声はすでにリゾナンス(=響き)たっぷり。
また、元ミラノスカラ座の首席奏者 ダヴィデ・フォルミザーノ氏の演奏は、技巧的で細かなパッセージまで濃密に歌い上げるといった感じで、強く揺すぶられました。
ミハエル=マーティン コフラー氏(ミュンヘンフィル)のレッスンは、伴奏パートに到るまで終始歌いっぱなし!
故ゲオルグ シュマイザー氏のレッスンにおいても、音質(とアンブシュア)を改善するため、声からアプローチする方法は、いつも即座に功を奏していました。
上野星矢氏は、お母さまもお姉さまも声楽家だということですが、氏の音楽作りの背景にやはり自然かつ豊かな歌声が存在しているように感じられます。
このように、フルートの達人において「声」というものが様々な意味で大きなひと役を買っている、という認識は漠然とあったのです。
それでは、今回の斎藤さんのお話しの何が新しかったかというと…
① 端的に言えば、呼気(=吐く息)に音程を含ませる、ということです。
② そしてその吐く息には「無声音」…息の流れがくちびるにぶつかることで「フーッ」という無声音が生まれますが…このこともフルートを発音させる原理として、不可欠だということらしいのです。
自分自身はもちろん、生徒さんにも提案して実行してみました。
フルートに近い、深い「ウ」の母音唱。息の流れを感じながら実際の音程を「ルルル~♪」と歌ってみてから、徐々に空気の割合を増やしていきます。(声⇒息)
【ベネフィットは以下の通り】
① 音程感が抜群に良くなった。これによって、アンサンブルのハーモニー飛躍的に変化。このことは、音程を指だけにまかせず、歌うことによって具体的な音高(ピッチ)を事前にイメージするからだと思われます。(※トランペット等ではとっくにやっている練習だそうです。)
② 無駄な息の消費が少なくなり、これまでより息が長く持つようになった。そこから更にフレーズ感が生まれるようになった。
③ フレーズの抑揚(< >)が付くようになったり、フォルテ、ピアノの差がつけやすくなって、表現の幅が生まれた。(フルートよりも声のコントロールの方が易しい。)
④ 響き(リゾナンス)を感じる場所が捉えやすい。
⑤ 私の場合、高音をイメージするかしないかで、吹き損じることが減った etc...
【うまくいかなかった例もあります】
① 各人の声域を超える高音域につなげるのが難しい。(この場合声の対応は1オクターブ下げれば良いそうです)
② そもそもフルートにとっても技巧的な楽曲は、複雑すぎて歌がついていきにくい。
③ そもそも歌声を出すのに、メンタルブロックがあるケースも…。
当たり前の事じゃないか…と思われた方は、すでに達人の域!!だと思います。
文字だけで記しても伝わることはわずかかもしれませんが、様々な改善点を得られる画期的なアプローチでしたので、備忘録がてら紹介させて頂きました。
斎藤和志先生がこのような有益な発信をし、無料でシェアして下さることは、音楽人の良心としか申し上げようがありません。ありがとうございます。
長くなりました。読んで下さった方も最後までお付き合い頂き、御礼申し上げます。
0 件のコメント:
コメントを投稿