2015年3月28日土曜日

華麗なるジャポニズム展

金山の名古屋ボストン美術館『華麗なるジャポニズム展』を見に行きました。
京都で見て以来、2回目となります。

『ジャポニズム』とは、19世紀の後半ヨーロッパで見られた「日本趣味」のこと。
(詳しくはこちらを参照。)

葛飾北斎や歌川広重などの浮世絵や、日本の職人による工芸品が、モネやゴッホ、ムンクなど名立たる美術家達の作品に多大な影響を与えた時代がありました。今でいうクールジャパンですかね。


今回の展覧会のメインは…

モネ / ラ・ジャポネーズ (Wiki)

修復を経て、色鮮やかに蘇った『ラ・ジャポネーズ』。修復後、初の公開だそうです。
着物の緋色や刺繍の立体感が見事。

モネの絵は、一見空気に溶け込むように柔らかいのですが、近くで見るとかなりハッキリとした強い筆致で、意外に思うことがあります。

展覧会では、ボストン美術館のコレクションである浮世絵と、それらの作品に影響された西洋画家たちの作品が並べられて展示されています。

両者を並べてみてみると、むしろ浮世絵の大胆さや緻密さ、ユーモラスな点に心を奪われます。



実は、「ジャポニズム」の現象は、美術界のみならず、音楽界においても見られます。

分かりやすい例は「マダム・バタフライ(蝶々夫人)」ですが、何と言ってもドビュッシーの試みは傑出しています。


ドビュッシー 「版画」よりパゴダ / マルタ・アルゲリッチ

ドビュッシーが試みたのは、必ずしも「日本的」なものばかりではありません。東洋音楽の特徴である5音音階や、拍節の周期から解放された新たな時間軸を試みることで、それ以前の西洋音楽には無かった、まったく斬新な音楽を作り上げました。それは洋の東西を融合するような、大胆な試みだったと思います。

(詳しくは色々な資料がありますが、ピアニスト青柳いずみこさんの著述「ドビュッシーと日本的感性」等が面白いです。)



生徒さんの中に『シランクス』を吹いたことがある方もいますね。地に足がつかないようなフワフワした感じ、不思議な音列…。その理由は、上記のことによるものです。


私たち日本人も、西洋文明や文化から多分な恩恵を受けて近代化が進みましたが、日本古来の文化もまた、欧米人に多大な影響を与えていたのです。

開期は5月10日まで。


2015年3月25日水曜日

ジャン・フェランディス / リサイタル & 公開レッスン

 名古屋でフルートのリサイタル情報がありましたので、簡単ですがご紹介しておきます。

ジャン・フェランディス
モーツァルトのフルート協奏曲K314を演奏した際、アダージョを聞いたバーンスタインに「彼はまさにパン(牧神)である!」と言わしめるほど称賛を得たフルーティスト。リヨン国立音楽院のマクサンス・ラリューのクラスで満場一致の1等賞を得て卒業後、プラハの春国際音楽コンクールでのグランプリなど、国際コンクールでの入賞多数。その後、シャンゼリゼ劇場(パリ)、アリス・タリー・ホール(ニューヨーク)、浜離宮朝日ホール(東京)、ウィグモア・ホール(ロンドン)、モスクワ音楽院、フェニーチェ劇場(ヴェネツィア)など、各国のホールでリサイタルを行う。オネゲル、モーツァルト、シューベルト、C.P.E.バッハや上林裕子の作品をこれまでに録音している。コンサート活動と同時に指揮者としての活動や教育活動にも熱心で、現在、パリ・エコール・ノルマル音楽院とカリフォルニア州立大学フラトン校にて教鞭を取る。アジア、ヨーロッパ、オーストラリア、アメリカでは定期的にマスタークラスでの指導も行う。



マスタークラス(=公開レッスン)は、京都フランスアカデミーしかチャンスがないかと思いましたが、東京でのリサイタル後、再度名古屋に戻られレッスンをなさるようです。


youtubeではいくつか音源が上がっていますが、直接聴いたことがありません。
クロード・ボラン(Claude Bolling) の作品で、フルートとピアノジャズトリオの演奏が印象に残っています。今回はクラシックのレパートリーでの演奏会。

公開講座を受講する新野さんは、こないだシュマイザー教授のレッスンも受講されていて、内容の濃いレッスンをなさいました。

いらっしゃった方は、どうぞ感想をお寄せ下さい♪

【関連記事】
ブラウ & パユ 対談 http://klangjapan467.blogspot.jp/2015/02/blog-post.html
高木綾子さん 公開レッスン & ミニコンサート http://klangjapan467.blogspot.jp/2014/12/blog-post.html

2015年3月22日日曜日

岐阜県中学校選抜吹奏楽団 始動 !

ようやく、我が岐阜県にも中学校選抜吹奏楽団が結成されました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150223-00010002-gifuweb-l21 (中日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASH3072PDH30OHGB00R.html (朝日新聞)

近年夏の吹奏楽コンクールの東海大会においてすら、岐阜県代表チームは満足な結果を残せずにいます。

全国大会レベルで結果を残せる愛知の代表や、静岡の代表と比べると、明らかな水準の違いがあります。

哀しいかな…この県の文化的水準なのだろうとも思います。

愛知でも岐阜寄りの地域は、なかなか結果が残せないそうで、「岐阜に近いからじゃない?」というジョークまであると聞いて、のけぞってしまいました。

こうした背景から、岐阜の吹奏楽を押し上げよう、より充実した音楽観を高めよう、という岐阜県吹奏楽連盟の熱い思いのもと、このプロジェクトは始まりました。


私自身、中学の部活でフルートに出会いましたが、当時の岐阜において、専門の先生にご指導いただく機会は、一度もありませんでした。先生がいなかったわけではないでしょうが、当時の私には「縁」がありませんでした。

私が初めて専門の先生に習ったのは、20歳を超えていました。しかも東京で。飽きれるほどスロースターターなのです。

「もし早くに専門の先生に出会えていたら…」と思うこともあるのですが、自分の運命なので仕方ありません。

…ドイツ留学から戻り、この地域で「フルートを学びたい」と思う人の助けになりたい、とずっと思っていました。

なので、今回講師としてこのプロジェクトに参加することができ、格別に嬉しく感じています。
(もちろん、今の生徒さん方との出会いとも同様に!)

なつかしい…教室

今回のメンバーは、岐阜県全域の新中2年生から希望者を募り、オーディションで選ばれました。

フルートパートはフルート6人、ピッコロ2人。
内3人は顔見知り。(オーディションは、私の関与はありません♪)
西濃地区や各務原地区の他、下呂市の金山や中津川から参加する子もいました。

まっすぐな眼差しと共に、高い集中力を持った子供たち。どんどん自分の課題を明らかにしていってくれます。

習ったことを各学校に持ち帰り、種をまき、芽吹いていってくれると良いと思います。


この選抜吹奏楽団を立ち上げるにあたり、浜松市や石川県まで視察に出かけ、構想を練ったとうかがいました。

この第1期の楽団を運営される顧問の先生方の熱いお気持ちにも、頭が下がります。

【関連記事】

岐阜県中学校選抜吹奏楽団 ② http://klangjapan467.blogspot.jp/2015/05/blog-post_5.html

岐阜県中学校選抜吹奏楽団 2期生 http://klangjapan467.blogspot.jp/2016/03/2.html

岐阜県代表3校による「ドリームコンサート」 http://klangjapan467.blogspot.jp/2015/06/3.html

なぜ合奏は「合う」のだろう? http://klangjapan467.blogspot.jp/2015/09/blog-post_13.html

中1生、試奏わず http://klangjapan467.blogspot.jp/2016/02/1.html

「葉っぱのフレディ」プロジェクト http://klangjapan467.blogspot.jp/2015/06/blog-post_12.html

アンサンブルレッスン(中級~) http://klangjapan467.blogspot.jp/p/blog-page_9.html

フルート教室のご案内 http://klangjapan467.blogspot.jp/p/blog-page.html

ようこそ、Nちゃん♪ http://klangjapan467.blogspot.jp/2015/09/n.html

2015年3月13日金曜日

なぜピアノを習うの? (記事)

3月ももう半ば。
本格的な春の陽射が待ち遠しいこの頃です。

新学期に向けて、何か習い事を始めようか、と考えていらっしゃるお子さんや保護者の方もいらっしゃることと思います。

指導者としては、純粋に楽器や音楽を学ぶ喜びを知って欲しい、という思いもあるのですが、昨今は、子供の全般的かつ具体的な能力を高めることを望まれているような気がします。


就学前後のお子さんを持つ、保護者向けの記事をご紹介します。
時々テレビでお見かけする、脳科学者の澤口俊之先生の記事。


ズバリ - 『習い事の王道 なぜピアノを習うの?』

要約すると…

♪ 「般化現象」 

行ったことが、色々な能力につながりやすい
   例えば、運動能力の向上、器用さなど

♪ HQ(=人間性知能)の向上 
※IQ=一般的知能、HQ=人間性知能

 理性・思いやり・協調性などが身に付けやすい

こういったことが社会的成功を生み「やすい」、と説明されています。
テニスの錦織選手や、水泳の入江選手がピアノを習っていたことは、よく紹介されていますよね。

(書かれていませんが、フルート習得においても、多かれ少なかれこういった能力(脳力)の習得はあり得ることだと思います)

【いつ始める?】

6歳~8歳までに始めるのが最適だとか。(でも大人も含めて、never too late だそうです!)

【記事リンク】

なぜ我が子にピアノを習わせるの?
~習い事の王道 なぜピアノを習うの?~

脳科学者 澤口 俊之 先生 インタビュー

その1 http://mama.bibeaute.com/article/10658/
その2 http://mama.bibeaute.com/article/10659/
その3 http://mama.bibeaute.com/article/10660/


フルートの会 クラング では、フルートレッスンのみならず、ピアノのレッスンも行っています。

2015年3月10日火曜日

夏の大会へ始動 !

今日は大垣市H中学校、吹奏楽部フルートパートのレッスンへ。

まさかのこの天気ですが…


夏の大会に向けて、始動しています!

この中の3人が、来年度新しく設けられた、新(中学)2年生対象の岐阜県選抜バンドに選ばれました。


【関連記事】

岐阜県中学校選抜吹奏楽団 始動! http://klangjapan467.blogspot.jp/2015/03/blog-post_22.html

なぜ合奏は「合う」のだろう? http://klangjapan467.blogspot.jp/2015/09/blog-post_13.html

フルート教室のご案内 http://klangjapan467.blogspot.jp/p/blog-page.html

2015年3月6日金曜日

ウィーンへ通ず?

昨日はムラマツ名古屋店にて、ハンス=ゲオルグ シュマイザー先生(ウィーン音楽大学教授)のレッスン通訳。


作曲家の手稿や最新の原典版に当たるバッハやモーツァルトは、改めて勉強になりました。

今回名古屋ではアマチュアの生徒さんも多く受講されましたが、吹き方の基礎を整え、吹くことが楽しくなるような、素晴らしいアドバイスの連続でした。

レッスンの中で還元していきます!
皆さんのレッスンは、ウィーンに通じているのでございます♪

2015年3月1日日曜日

華麗なるチェロアンサンブル ~藤原真理さんを迎えて

雨でけぶる山を抜けて、今日は再び岐阜県関市へ。
先日ご紹介した、足立工業ぶんかホールでチェロの演奏会がありました。

金木博幸と素敵な仲間たち
世界的チェリスト藤原真理を迎えて
『華麗なるチェロアンサンブル』

~プログラム~

バーヒェット:アレグレット スケルツァンド (独奏 金木博幸)
J.S. バッハ:無伴奏チェロ組曲 第2番 (独奏 藤原真理)
フィッツェンハーゲン:アヴェ・マリア
クレンゲル:アンプロンプチュ

ヴィラ・ロボス:ブラジル風バッハ 第1番
ヴィラ・ロボス:ブラジル風バッハ 第5番 (ソプラノ 横井香奈)

~出演者~

藤原真理 
金木博幸 (東フィル首席)
海野幹雄
北口大輔 (日本センチュリー首席)
向井航 (関西フィル首席、日本最重量チェリスト・本人談)
吉岡知広 (仙台フィル副主席←注目の王子・筆者注)
朝吹元 (東フィルフォアシュピーラー)
山澤慧 (芸大フィルハーモニア首席)

8人のチェロと弓で、10億円超えとか

ホールへ向かう道中、カーラジオからアンドレ・ナヴァラによる、バッハの無伴奏(組曲)が流れてきました。
藤原さんのソロが始まって、ハッとしました。同じく2番だったのです。

藤原真理さんは、チェロという楽器に対しては小柄な方だろうと思います。日本最重量チェリストと自らおっしゃる、向井さんと比べれば、チェロに対する体の割合は一目瞭然です。

音色も男性とは違います。柔らかく、バッハと近くして語らうような、誠実な演奏でした。お仲間からも慕われ、人間的ーひいては音楽的なコミュニケーション能力も豊かでらっしゃるのだろうと、想像するに難くありません。

颯爽として気さくで、カッコ良い女性だなぁ…。(1949年のお生まれだとか。)

チェロという楽器の多彩さや幅の広さは、本当に裾野が広く魅力的です。


余談ですが、チェロアンサンブルと言えば、「ベルリンフィル12人のチェリスト」が真っ先に思い浮かびます。
最近では2Cellosという異色のデュエットも注目されていますね。


ドイツでの学生時代、「ベルリン チェロハーモニカー Berliner Cellharmoniker」という名で、チェロカルテットの活動をしている友人がいて、めちゃくちゃ上手くて、カッコ良かった!
チェロアンサンブルの面白さに目覚めたきっかけでした。

彼らは元ベルリンフィル首席奏者のベットヒャー教授の門下生たちだったけど、既に演奏活動も始めていて。当時キム・ジョンイルの誕生日の式典にも招待があったりして、お土産に粗雑なキム・イルソンバッヂをもらった事など、思い出しました。

【関連記事】
足立工業ぶんかホール http://klangjapan467.blogspot.jp/2015/02/blog-post_8.html