「行くべきか」「行かざるべきか」ずっと悩んでいた、ダニール・トリフォノフのピアノリサイタル神戸公演。前日になって「行ってまえ~」となって、神戸文化ホールへ向かいました。神戸国際フルートコンクールにおいて、数々のフルーティスト達を輩出してきた、あの会場と同じ。
この会場は昭和レトロの雰囲気を残しています。ホールはドライ(=残響がほとんどない)な印象です。
神戸文化ホール |
トリフォノフを最初に知ったのは、2010年のショパンコンクール。ポーランド人の友人、マレク・ブラハが出場していたので、しばしばネット中継を見ていました。その時、トリフォノフは本選で3位になりましたが、予選の時からとびきり美しい音色と、「ショパンの再来」と言われるほど豊かで直感的な音楽性が際立っていて、トリコになってしまったのです。(その後、ルービンシュタイン、チャイコフスキー両コンクールで1位となっています。)
Daniil Trifonov |
そのコンクールで聴いたショパンのコンチェルト1番 / 第2楽章は、私の葬儀に使いたいと思っているほどです。この映像がまさにそれ。ショパン20歳の作品、トリフォノフは19歳でした。
…それ以降、3回目の演奏会。上の映像よりも一段と進化(=深化)した、23歳。
予約時「最前列正面、空いてます。」の一言に惹かれ、今回はミーちゃんになることに。だから本当に「観た」のです。マジマジと、目の前で。
心に深く残ったのは、ベートーヴェンの晩年、最後のピアノソナタになった32番。
(こちらのサイトに、作品に関して興味深い事が書かれています。以下抜粋。)
仏教に「解脱」(げだつ)という言葉がある。
解脱とは「束縛から離脱して自由になること。現世の苦悩から解放されて絶対自由の境地に達すること。涅槃(ねはん)」とあるが、これが「ベートーヴェンの到達した境地に近いのではあるまいか。」
トリフォノフの演奏も、まさにそのような解釈であり、演奏だったと感じます。全ての苦悩から解放され天に昇っていく様が見えたからです。涙が溢れました。このような境地を示すことのできる、23歳。一生聴き続けたい…私にとっては、そんな音楽家です。
…後半のリスト。何度も何度もさらってきたはずなのに、今そこで生まれたかのような、新鮮な一瞬一瞬を立ち上げます。表情や呼吸などを間近で見ると、彼の肉体や精神のありようが、どんなにその「一瞬」にかけているか、感じられました。だからこそ、足を運んでライブを聴けた喜びは、ひとしおでした。
その極限の集中力は、半ば「憑依」しているようにも映ったほどです。ただ以下のインタビューを読んでみると、その高度に集中した状態は、ヨガや瞑想、気功によって、鍛錬されていることがうかがえます。
本人曰く、「私たちピアニストも、自分の体と心……つまり音楽を創るための楽器を“調律”して本番に臨む必要があるのだと思います。」
http://www.japanarts.co.jp/blog/blog.php?id=1091
いやぁ、そうなんですけどね… how...!? どのように応用しているのか、興味深いところです。
帰り道、ホールから駅までの並木道を、ゆっくりと歩きました。いつも最高の幸福感を与えてくれるトリフォノフ、今度はいつ、どこで聴けるかな。
いつも長いブログになってしまいます。最後まで読んで下さって、ありがとうございました。
その極限の集中力は、半ば「憑依」しているようにも映ったほどです。ただ以下のインタビューを読んでみると、その高度に集中した状態は、ヨガや瞑想、気功によって、鍛錬されていることがうかがえます。
本人曰く、「私たちピアニストも、自分の体と心……つまり音楽を創るための楽器を“調律”して本番に臨む必要があるのだと思います。」
http://www.japanarts.co.jp/blog/blog.php?id=1091
いやぁ、そうなんですけどね… how...!? どのように応用しているのか、興味深いところです。
帰り道、ホールから駅までの並木道を、ゆっくりと歩きました。いつも最高の幸福感を与えてくれるトリフォノフ、今度はいつ、どこで聴けるかな。
いつも長いブログになってしまいます。最後まで読んで下さって、ありがとうございました。
【プログラム】
バッハ/リスト編:幻想曲とフーガ ト短調 BMV.542 Bach / Liszt Fantasia and Fugue in G Minor, BWV 542
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 Op.111 Beethoven: Piano Sonata No.32 in C Minor, Op.111
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リスト: 超絶技巧練習曲より Liszt: From Etudes d'exécution transcendante S.139/R.2b
第1曲 ハ長調「プレリュード」 No.1, in C major, "Preludio"
第8曲 ハ短調「荒野の狩」 No.8, in C minor, "Wilde Jagd"
第3曲 ヘ長調「風景」 No.3, in F major, "Paysage"
第4曲 ニ短調「マゼッパ」 No.4, in D minor, "Mazeppa"
第5曲 変ロ長調「鬼火」 No.5, in B-flat major, "Feux follets"
第2曲 イ短調 No.2, in A minor
第9曲 変イ長調「回想」 No.9, in A-flat major, "Ricordanza"
第10曲 ヘ短調 No.10, in F-minor
第11曲 変ニ長調「夕べの調べ」 No.11, D-flat major, "Harmonies du soir"
第12曲 変ロ短調「雪かき」 No.12, B-flat minor, "Chasse-neige"
トリフォノフ 2014 神戸 アンコール 19番も。 |
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