2016年2月29日月曜日

中1生、試奏わず

中1の生徒さんの楽器購入にあたり、ご本人と保護者、ディーラーさん、私とで試奏会をしました。

例によって、名古屋市の植村楽器さんに出張して頂き、岐阜にいながらにして充実のラインナップにて色々と吹いてみることができ、感謝に堪えません。

今回のラインナップは、中学生にはゼイタクな、以下の7本☆
生徒さんの保護者さまの、有難いご理解あってのことです。

Muramatsu GX            頭部管・管体のみ銀
Muramatsu DS            総銀
Altus A1207             
Altus A1307              総銀。銀の純度が高い。
Sankyo Artist            頭部管・管体のみ銀
Sankyo Handmade DT   総銀 ハンドメイド 引き上げ
YAMAHA YFL777

ど、どん! ジュラルミンケースの中身は、毎度圧巻  (^^ゞ
               
吹奏感(=吹き心地)や音色は個人の好みです。
私は、その楽器が本来の響きを得て、購入されるご当人がその楽器をしっかり把握できるよう、息の入れ方や音の届き具合などについてアドバイスします。

そうすると、生徒さん方は大抵こちらが予想していた通りの選択をされる場合がほとんどなので、こちらも安心して決断を委ねることが出来ます。


ちなみに、仕様に関して、Eメカがオプションになっているメーカーもありますが、これは今や当然備えておくべき装置だと考えています。
オフセットかインラインか: 女性の場合は特に指のリーチの関係で、オフセットをお勧めしています。
リングかカバードか: 生徒さんの持ち方の安定性や指の回り方を見ながら決めるので、ケースバイケースです。

今回久しぶりに YAMAHA の777というモデルを吹いてみました。
頭部管のカット(=息の入り方)やキーパッドの反応、音色のふくよかさ等、以前と随分印象が違う☆

2年ほど前に、歌口やメカニックなど大幅な改良がなされたようで、私はそのことをキャッチアップしていませんで… (^^ゞ
聞いたところによると、A. アドリアンさんと共に改良されたとか。

このモデルは最後の2本まで、選択肢に残りました。
今回の試奏の、大きな収穫。

で、結局何に落ち着いたかって…?
ウチの生徒さんには教えてあげましょう… ^m^

フルートメーカーは日進月歩。
国内にこれだけ優秀なフルートメーカーが揃っている国は、日本をおいて他にありません。
職人さんの終わりなき探求の世界。
日本のフルートが世界を席巻しているのは、本当に素晴らしいことですよね♪


ブログが連投ですが、4年に1度のうるう歳なので!?今日も書いてみました (^^ゞ


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楽器選び 
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エミリー・バイノンさん 公開レッスン@植村楽器
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岐阜県中学校選抜吹奏楽団 始動!
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岐阜県中学校選抜吹奏楽団 2期生 http://klangjapan467.blogspot.jp/2016/03/2.html

アンコン雑感
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フルート教室のご案内
http://klangjapan467.blogspot.jp/p/blog-page.html

2016年2月28日日曜日

春のイベント

昨日練習している時に感じた、フルートのタンポのちょっとした変化。
雨が降っているわけでもないのに、湿気を含んでいる感じ。

日頃は西洋の音楽にたっぷりひたっている私たちですが、
日本(人)が素晴らしいなぁと思うことの一つは、季節の移ろいを敏感に感知する、そのセンサーの繊細さにあると思います。

豊かな四季にとどまらず、二十四節、いえ更に七十二候にさえ区分される日本の時季。
その時々を愛でた、スーパーファインな先人の感覚。

ある2月の北のそら
                
2/24-2/28は、その七十二候によれば「霞始(かすみはじめてたなびく)という時季だそうです。
「張り詰めたように乾燥した空気が、少しずつうるみ、湿度が増してきているこの頃。遠くに見える景色がうすぼんやりと、かすんで見えることが多い…」とあります。

なんともキレイですね。

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…というわけで、春に向けたイベントのご案内です。

Touch & Try 〜フルートとギターのミニライブ&体験イベントです。

2016年3月21日(祝月)11:30〜 / 松栄楽器 羽島センター 058-398-6556

棚瀬 尚子 - Flute 
由川 史比古 - Guitar 

フルート&ギターのミニライブの後、実際に楽器をお試し頂ける、魅力的なチャンス♪ 
楽器が初めての方も大歓迎♪ 是非いらして下さい。

『葉っぱのフレディ』〜おはなしとフルートアンサンブル(再演・短縮版)

2016年4月3日(日)15:30頃〜 / サラマンカホール (岐阜市薮田)

演奏:アンサンブル クラング
棚瀬 尚子
浅野 比富美 / 碓井 彩那 / 佐伯 智子 / 藤原 祐子

野口ピアノ教室の発表会で、ゲスト演奏をさせて頂くことになりました。
昨年9月に演奏して好評だった「葉っぱのフレディ」を題材に、おはなしとフルートアンサンブルによる、心洗われる調べをお届けします。30分の短縮バージョン。

JAZZMIN TEA LIVE 

2016年4月30日(土)18:00〜 / 岩田洗心館 (名鉄犬山線犬山駅西口徒歩2分)
¥2500 (ワンドリンク付き)
お申し込み klangjapan@gmail.com 

棚瀬 尚子 - Flute 
由川 史比古 - J.Guitar 
高田敏実 - Bass

愛知県犬山市にある、とーってもステキな茶道具記念館でのジャズライブ。
マックス30席の、超限定ライブです!
趣向を凝らしたドリンク付き。

新緑の犬山へ、ぜひお楽しみにいらして下さい!

岩田洗心館 書斎カフェ

2016年2月27日土曜日

冬の白川郷へ

先日、初めて白川郷・合掌村に行きました。
先のブログで触れた、犬山市とドイツ・ハレ市との学生交流事業のプログラムの一環。

あいにくこの日は冷たい雨が降り続いて、外には長くいられませんでしたが、雨もまた情緒と思えば、悪いわけもなく。

写真に収めてみたらなんだか趣があって、後ろの杉山など青のフィルターをかけたら、東山魁夷みたいだなーと。

やっぱり世界遺産のパワーかな ??

水のせせらぎに、この時期はさすがに震えましたが、新緑の頃もさぞ美しいだろうと想いを馳せました。

世界遺産 白川郷
               
肝心のドイツのお客さまは、そのオープンな心で、日本流のもてなしの心を細部まで感じて下さいました。

Die Gaeste aus Halle, in Tokoname
              
仕事を始めてから、旧東ドイツの方たちとのご縁が増えました。

もちろん、今回お迎えしたゲストの「個性」だとも思うのですが、彼らには日本人にとって大変心地良い、共通の「人情」を感じます。

それは明らかに、私が暮らしたベルリンでは、容易く得られるものではなかったな。

犬山とハレ。
本来、縁もゆかりもなかった土地どうし。
それが今となっては互いに確かな愛着を持って、その関係を深めている。

それは、その土地に住まう「人」との関わりに負っていることを、改めて思うのでした。


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2016年2月18日木曜日

ヘンデルの街から

明日(というか、もう今日)からしばらく、ドイツのハレという街からいらっしゃるお客さまをアテンドします。

ハレと言えば、作曲家「ヘンデル」の生誕地。中世の面影がそのまま残っていて、人口規模は岐阜市くらいだそうです。

3年前の写真で、少しご紹介してみます。

ハレ市長室からの眺め。
ドイツの中でも、もっとも美しい広場の1つだと思います。
ヘンデルも眺めていた、そのままの景色なんでしょうね。



ヘンデル像。市民の待ち合わせ場所。
岐阜駅前には、金の信長さんがおるけどね (*^^*)



ヘンデルが幼少期に弾いていたオルガン。
ハレ市民は大バッハよりもヘンデル派♪
郷土の作曲家を大変誇りに思っているのです。

マグダレーナ・コジェーナやクリスチーネ・シェーファーと言った大歌手が集う、大変質の高い「ヘンデル音楽祭」も5月末に行われます。


ヘンデルハウスという博物館にある、ヘンデルの直筆ファクシミリ。



お迎えするのは、高校生2人と付き添いの先生。
彼らの通う高校は語学と音楽に特化していて、少なくとも(ドイツ語の他に)3ヶ国語が必修という進学校です。

愛知県犬山市、国際交流協会の事業。
日本の素晴らしさもしーっかりお伝えせねば!

【追伸】
只今PCが冬眠中…。凍ってしまいました。
携帯からだとレイアウトがしにくく、多少見づらいと思いますが、いずれ直しますので、気長にお付き合い下さい。

2016年2月13日土曜日

らららクラッシック

今日の『らららクラッシック』、フルート特集だそうです♪

よる9:30〜。
                                       

2016年2月12日金曜日

音楽は音のみにて成らず⁉︎

またもや趣味ブログ…の体を成す今回の巻。
音楽は音のみにて成らず!…と信じて、言い訳しておこうっと。

この頃見聞したものです。

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☆ ピカソ、天才の秘密 展 (愛知県美術館)

ピカソの10代~青の時代~バラ色の時代~キュビズムまでの前半生の作品展。

ピカソ10代の作品は、いくつかバルセロナで見た記憶があります。
インプットするための観察眼と、アウトプットするためのデッサン力は、10代にして確固たるもの。

音楽人で言うところの、「耳」と「技術」。

それら高度な技術力を持って描いた対象…ピカソの目に映っていたもの…は、貧しい人、病める人、孤独な人、或いは娼婦。

人間のリアル、人間の本性…
そういうものを飾らず見つめる、早熟な視点。
…10代ですよぉ?
私なんて自分しか見えてなかったけどなー。


続く20代、友人を亡くしたことを発端とする、陰鬱な「青の時代」から、恋人の出現によって憂鬱や感傷を払拭した「バラの時代」の変わりようは、なんだかゲンキンで微笑ましかった。
「やっぱラブでしょ❤」 的な?

ピカソって「天才」と位置づけられているわりには、むしろとても人間味溢れる人んだなぁ、と勝手な親近感を覚えました。

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☆ フランス組曲 (映画)


ピカソ展の続きに観たエイガ。

バッハのフランス組曲とは関係ないのですが、
表題の美しい音楽が、戦時下に敵対する主人公の2人の心を慰め、結び付けるシーンが素敵でした。

第2次大戦下におけるドイツの軍人に、一人の人間としてスポットを当てていて、(要するに、当時のドイツ人はみーんなワルモノ!という画一的な見方をしていないところも)良かった。

結末は悲劇「的」…なのかもしれないけど、主人公2人のあり方は、果たして本当に悲劇なのだろうか?と自問。

とにかく原作が素晴らしく、完全に私好みのエイガでした… (^^ゞ

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☆ マチネの終わりに / 平野啓一 (小説)

昨年(2015年)3月から新聞連載されていた小説。
中年期を迎えた、クラシックギター奏者のミッドライフクライシスと愛のお話し。

音楽家のリアルな心理描写に、いくつも印象的なフレーズが出てきて愉しみました。
ギターの名曲も、ふんだんに散りばめられていました♪

例えばこんな一節

読んで楽しいかは、世代によるのかもしれませんけどネ (^^ゞ

2016年2月1日月曜日

ニコレの訃報 ②

先にお伝えした、オーレル・ニコレの訃報を伝えたスイスのラジオ局の記事。
ニコレを分かりやすく振り返るのに良い記事だと思いましたので、訳してみました。

記事の表題にもなっている「メッセージを伝達する人」
ニコレの存在は、レングリさんのこの言葉に集約されているように思います。

音楽に込められた大切なメッセージを伝えようとする姿。
時にはそれが厳しく響くときも、その一面はニコレの音楽に対する愛であり、人間に対する信頼だったのだと感じます。

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~SRF (スイスラジオ)の記事より~

Der Klang seiner Floete war warm und trug eine Botschaft

【温かな音色でメッセージを伝達した人】

オーレル・ニコレは9年間、ベルリンフィルのメンバーであり、一生をフルートに捧げた。ニコレは、前世紀における最も著名なスイス人音楽家の1人であり、カラヤンやフルトヴェングラーと言った指揮者の下で活躍した。享年90歳でこの世を去った。

「フルートはあらゆる楽器の中で、習得するのが最も易しく、早く上達する」と、ニコレは笑いながらそう語った。「ただ、good からvery good に至るまでの道のりは、非常に長い。」 彼はその道のりを進んできたのである。

【「ただ美しい」以上の何か】

チューリヒの音楽大学と、21歳の若さで栄誉ある「プルミエ・プリ(=最優秀賞)」の成績でパリの高等音楽院を修了した後、その1年後にはジュネーヴ国際コンクールで優勝。1950年にはフルトヴェングラーに請われ、首席奏者としてベルリンフィルに入団する。

9年間の在団中、チェリビダッケやカラヤンらと共演。ソリストとしてドイツ、ロシア、日本などでも成功を果たし、バロック音楽から現代音楽の分野に至るまで、心を砕いた。

70年以上もの間、ノイエンブルグ(訳注:スイスのある街)市民として、フルートに身を捧げてきた。大らかで自然な音楽性と、非凡なほど温かい音色、-それは常に「ただ美しい」ことを超えていたーと、かつての教え子の1人フェリックス・レングリ(訳注:フライブルグ音大教授)は語る。「ニコレの笛の音は、常にメッセージを伝達する使いだった。」



【しつこく、妥協の無い教師像】

オーレル・ニコレは、自身の楽器への愛を、情熱的に世に伝えた。すでに15歳の時、レッスンを開始。後に、ベルリンやフライブルグ音大で教鞭を取り、数々のマスタークラスを行った。しつこく、妥協が無く、厳しい教師だという評判は素早く広まったが、そのことによって(教師としての)成功も得た。教え子の1人エマニュエル・パユは、師と同じく非常に若くしてベルリンフィルの首席奏者の地位を得た。

【パユ談】

教師としてのニコレについて、パユはたくさんのことを語った。「音楽界におけるニコレの多様な貢献に加え、音楽以外の文化にも好奇心旺盛だった。例えば、ある時期ーまだ情報が遮断されていた頃ーニコレは東欧に関心を寄せていたし、イスラエルやパレスチナに対する興味もまた同様だった。またニコレは繊細で感受性の強い人柄で、彼の妥協の無さは、僕には魅力に感じた。僕から何かを引き出したい時、彼はあきらめるということがなかったのだから。」

※パユ インタビュー音声
http://www.srf.ch/play/radio/popupaudioplayer?id=1240ddd8-c735-496a-a690-3bd90f6ad51d

【年老いてブツブツ嘆いているのとは無縁】

教師としてのオーレル・ニコレはまったく特別な存在だった。「先導する」というよりは、ある方向性を示すだけ。しかもレッスンではただ与えるだけでなく、彼自身が生徒から得る、という側面があった。ニコレ談「僕は各国の若者たちと接触するのが好きなんだ。それは年老いた者にとっては良い機会で、同世代とブツブツ文句を言い合っているだけとは違うからね。」

【終わりない呼吸】

このフルート奏者は、循環呼吸ーつまり演奏中にブレスを取らない奏法ーの開拓者の1人だった。「この循環呼吸で、九死に一生を得たことがあるんだ」と語る。「ある晩ウォッカをしこたま飲んだ後、警察にひっかかって、アルコール検知器にかけられたんだ。その時、循環呼吸でなんとか難を逃れたってことがあった。」

ニコレは、この技法をハインツ・ホリガーから学んだ。このスイスの作曲家であり、指揮者であり、オーボエ奏者である。ホリガーは、ニコレにこの技法を教えるだけでなく、彼のために曲を書いている。また、武満徹やジェルジ・リゲティ、アリベルト・ライマンらも同様、ニコレに曲を捧げている。


【関連記事】

ニコレの訃報 http://klangjapan467.blogspot.jp/2016/01/blog-post_14.html